挽歌を紡ぐ人たち: 大人のための童話, #8

挽歌を紡ぐ人たち: 大人のための童話, #8

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ソウル郊外の小さな斎場。相談室の扉は、いつも半分までしか閉められていない。職員のユンソは、慰めの定型句が遺族の痛みを「確かめる」行為になってしまうことを知っている。だからマニュアルにある「大丈夫ですか」「おつらいでしょう」を、簡単には口にできない。言葉を置くより先に、ただ同じ空気の中に座る。

けれど、その沈黙はときに冷たさとして受け取られる。苦情になり、職場では「配慮が足りない」と問題視されていく。正しい言葉がわからないのではない。言葉が早すぎれば、人の悲しみを追い詰めてしまう――その怖さを、ユンソは知っているだけだった。

そんな夜、泣けない老人のそばに座った瞬間、ユンソの内側で古い音がほどける。斎場の消毒薬の匂いが、発酵した醤の匂いに変わり、夢の中の雪の庭が立ち上がる。縁側に裸足で座る十五歳の少女タンイ。祖母の死に直面しても泣けない彼女の前に現れるのは、村の喪で「代わりに哭く」ことを生業にする女――哭き女(コクビ)だった。

「泣きは、いつでも出るものじゃない」

その言葉だけが、ユンソの夢に何度も残り続ける。

現実のユンソの引き出しには、母の遺した折れた扇子がある。内側の墨で書かれているのは、「泣きなさい」。そしてある夜、その扇子の下から、もう一つの名が浮かび上がる――「タンイ」。夢の少女は幻想ではなく、母が隠し続けてきた過去の記憶のかけらだった。

ユンソは休暇を取り、山あいの村へ向かう。取り壊し前の古い韓屋で、母が残したものに触れながら、ユンソは少しずつ理解していく。泣いてもいい。泣けなくてもいい。大切なのは、悲しみを「処理」することではなく、その悲しみに通れる道を残すことなのだと。答えではなく、道を――。

ソウルへ戻ったユンソは、父の葬儀で斎場を訪れたミンフの隣に座る。今度も「大丈夫ですか」とは言わない。その代わり、たったひとつだけ言う。

「言葉にしてみませんか。ひとことだけ」

押し込められていた恐れが短い文になったとき、泣きはようやく息を取り戻す。半分開いた扉の向こうで、人はそれぞれの速度で挽歌を紡ぎ、静かに「言える痛み」へ変えていく。

これは、涙の量で癒しを測る物語ではない。言葉にならない喪失のそばに座り、泣ける人にも泣けない人にも、通り道を残していく物語だ。

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